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2020年3月19日のマーケット・コメント

個別銘柄は強烈な爬行色-今後予想される下落相場の変遷

 

一昨日あたりから、個別銘柄で、株価上昇する銘柄と株価下落が続く銘柄が二分されてきましたが、今日はそれが更に強烈になっています。売買代金上位で上昇が大きい銘柄を挙げると、NTTドコモ(9437)+8.4%、NTT(9432)+7.4%、みずほFG(8411)+4.2%、花王(4452)+5.6%、JR東海(9022)+8.2%、中外製薬(4519)+5.0%、昭和電工(4004)+6.5%、第一三共(4568)+9.0%、テルモ(4543)+8.0%、東京海上(8766)+5.5%、などです。一方、下落が大きい銘柄を挙げると、ソフトバンクG(9984)-10.3%、富士フィルム(4901)-8.9%、東京エレクトロン(8035)-7.1%、オリックス(8591)-8.4%、日本電産(6594)-7.8%、リクルート(6098)-5.2%、ファナック(6954)-5.6%、アドバンテスト(6857)-8.8%、SUMCO(3436)-7.3%、TDK(6762)-5.6%、オリンパス(7733)-9.3%、などです。

 

通常、個別銘柄の爬行色が出る場合、景気敏感業種と内需・ディフェンシブ業種の間での銘柄入れ替えが背景で、どちらかが買われどちらかが売られるという現象になります。しかし本日はそのような動きではなく、買われている銘柄の共通点、売られている銘柄の共通点が見出せません。しかも、爬行色が強烈で、なるべく早く売買を済ませたい、という事情が伺えます。

 

この背景にあることは、ロング・ショート型のヘッジファンドのポジション・クローズだと思われます。つまり、売られている銘柄はロング、買われている銘柄はショートで、全体のポジションを削減する動きだと思われます。それが、市場変動性の異常な上昇を受けた自発的なものなのか、解約通知を受けた強制的なものなのかはわかりませんが、いずれにせよ、市場インパクトを出して自らのパフォーマンスを短期的に犠牲にしても、リスク削減のためにポジション縮小を優先する、という事情だと思われます。

 

この現象は過去にもありました。2007年8月です。リーマンショックに向かい下落相場の始まりの局面です。リーマンショック時を振り返ると、まず2007年8月10月11月にこの「ロング・ショートのアンワインド(ポジション・クローズ)」が主導する下落(第1段階)、次に2008年1月3月に「資産配分変更に伴う、広く保有されている優良株」主導の下落(第2段階)、2008年6月以降は「景気悪化を織り込み、景気敏感株全般」主導の下落(第3段階)、最後の2008年10月は「爬行色なく全銘柄」主導の大幅下落(第4段階)、という変遷でした。

 

下落の波動論と一緒で、背景事情がどうであれ、ピークアウトから下落トレンドに明確に転じ、リスク削減のために株のポジションを落としていく際の、思考プロセスや行動パターンに違いがないとすれば、今回も同様の変遷をたどるはずです。(時間軸はリーマンショック時より速くなると思います。)だとすれば、まだ下落局面は第1段階であり、まだまだ収束に至るにはいくつかの段階を経てから、ということになります。

 

今後、どのような下落の仕方をするのか、注目していくことが重要です。今はまだ気が早い話になりますが、第4段階の「爬行色なく全銘柄が大幅下落」が起きたら、買い転換の準備開始です。