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2020年3月27日のマーケット・コメント

先週の外人手口、裁定売り残-外人の現物株売りは4月以降本格化か

 

昨日引け後に発表された主体別売買動向を見ると、先週の外人投資家の現物株の売り越し額は3,669億円、先物の売り越し額は4,060億円に留まりました。先週は、日経平均が5.0%の下落、TOPIXは1.7%の上昇でした。3月9日の週の外人投資家は、現物株が6,711億円の売り越し、先物が3,005億円の売り越しで、この週の日経平均は16.0%、TOPIXは14.3%の大幅下落でした。2週続けて、市場が下落した割には外人投資家の売りこし額がさほど多くない印象です。

 

現物と先物間の裁定取引に伴う現物ポジション(現物裁定残高)ですが、市場が大幅下落した3月13日に前週末の8,863億円の売り越しから1兆5,076億円の売りこしに、売り越し額が一気に増加し、3月19日には1兆4,738億円とほぼ横ばい推移でした。3月13日に売り越し額が大幅増加した背景は、外人主導で先物売りが入る中、日銀とGPIF主導で現物株の買いが入ったということでしょう。

 

現物裁定残が売り越しということは「先物買い+現物売り」というポジションとなっており、このポジションの解消には先物価格が現物株価に対して割高になる必要があります。そのためには「先物主導の買い」か「現物主導の売り」のどちらかが入る必要があります。裁定残が前回大幅な売りこしになったのは2019年9月初めで、その時は外人主導の先物の買い戻しが入り、現物裁定残の買い戻しを誘発して相場の押し上げ要因となりました。

 

しかし今回は、2019年8月ほどの勢いで外人は先物を売りこしていないばかりか、ウィルス感染拡大により今後懸念される市場混乱は、2019年8月当時の米中貿易戦争激化とは比較にならない大規模なものになります。3月の株式市場の下落率もボラティリティも想定をはるかに越えており、4月になると、リスクパリティ運用のリバランスによる株売りに加え、中長期投資家の資産配分変更に伴う株売りも出てくる可能性は高い状況です。多くのアセット・アロケーター(資産配分決定責任者)は3月の市場変化のスピードがあまりにも速く、方針変更する間もなかったと思われます。「顧客に対する説明責任」を考えれば、ウィルス感染により誰の目にも明らかな経済被害がでる状況で、リスク回避的な方針変更を行なわない運用会社が存在するとは思えません。すなわち、全社がリスク削減という同一の方向での方針変更(一斉に株を売るという行為)を行なってくるでしょう。)

 

3月31日までは様子を見ながらゆっくり売り増して、4月1日には株価下落を収益化するポジションをフルに取った状態で迎える、という基本戦略を維持します。