ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2020年3月31日のマーケット・コメント

4月に間違いなく資産配分変更に伴う売りが来る

 

昨日の米国株は反発し、日本にとって重要な3月決算期末の今日の引け値は、日銀やGPIFにとって、何とか格好が付く株価で迎えられそうです。しかし、4月になればグローバル中長期資金は、間違いなく資産配分の変更(株の削減、安全資産の増加)を行い、それに伴う株売りがくると思われます。

 

そのように考えられる重要なキーワードは、「(顧客への)説明責任」と「ビジネス・リスクの回避」です。年金基金や政府基金(SWF)の大部分の運用は、大手運用会社に委託されています。運用を受託している運用会社は、通常四半期ごとに運用状況や見通しなどを顧客に報告します。これが「説明責任」です。運用会社は、まずアセット・アロケーター(資産配分決定責任者)が株と債券への配分比率を決め、さらに株、債券それぞれの地域配分を決め、各地域のファンド・マネージャーが地域ごとに運用を行ないます。

 

ファンド・マネージャーは日常的に銘柄入れ替えなどを行い、運用活動を行ないますが、資産配分の見直しは通常四半期ごとに行なわれます。また、顧客への説明は、通常四半期が締まってから1ヵ月後くらいに行なわれます。市場が大きく変動した場合は、四半期の途中でも配分見直しを行なう場合もありますが、この3月は市場変動があまりにも激しく、3月中に配分見直しを行なった運用会社はほとんどないと思われます。

 

1-3月の市場動向を受けて、まさに今アセット・アロケーターは4-6月の資産配分をどのように変更するか考えているところです。そこで重要なのが「ビジネス・リスク(顧客から運用委託契約を解約されること)」です。1-3月の市場動向は、新型コロナウィルス感染拡大が止まらず、大規模な経済被害が生じることが見込まれ、市場は大荒れでした。今回の動向はあまりにも明確なため、運用会社だけでなく、顧客も共通認識を持っているでしょう。配分見直しの選択肢としては、当然「株への配分比率を減らすのか、維持するのか」です。

 

顧客に説明をするときに、配分見直しの決断を評価されることになるわけですが、その時点での結果は「当たり」の場合と「はずれ」の場合が考えられます。まず「株削減」を行なった場合ですが、その理由は単純明快で「コロナ被害拡大により株価下落が予想されるから」で、株価が下がれば「当たり」で何の問題もなく、株価が上がっていても(はずれの場合)「いずれ被害が明らかになり株価は下がる」との説明で問題ないでしょう。

 

「株削減をせず現状維持」とした場合、その理由は「3月の下落でコロナ被害は織り込まれ、中長期視点では現在の株価は割安」ということになると思いますが、顧客の中には腑に落ちず、「楽観的すぎるのでは?」と不安に思う顧客もいるでしょう。株価が上がれば「当たり」なのですが、不安を感じた顧客が腑に落ちてくれるかは疑問です。問題は株価が下がった場合(はずれの場合)で、顧客は「誰の目にも明らかな危機的状況で、何も対応しなかったとは考えられない」という反論とともに、運用委託契約は解除(解約)となるでしょう。ビジネス・リスクの顕在化です。

 

もうご理解いただけたと思いますが、「株削減」を選択すれば、外れた場合も大きな問題にはなりませんが、「現状維持」を選択して外れた場合、大問題になるのです。したがって、事実上の選択肢は「(おそらく多くのほかの運用会社と同様の)株削減」しかないのです。

 

今日の15時の時点で、売りを収益化するポジションをフルに取って4月を迎える、という戦略を強調します。