FRB緊急利下げ-2008年10月以来
昨日、G7各国の財務相・中央銀行総裁が電話会議を行い「急速な衛生上の危機に対応するために全力を尽くす」との声明を発表しました。残念ながら昨日のコメントで予想したように「みんなで頑張ってウィルス騒ぎに耐えましょう」という領域を出ないものでした。これを受けてか、FRBは緊急会合を開き、FFレート誘導目標を1.00-1.25%へと0.5%の利下げを決定しました。FOMCを待たずに緊急利下げを行なったのは、リーマンショックが起こった2008年10月以来です。
昨日のコメントでご説明したように、今回のウィルス危機に利下げは効果がありません。実際に緊急利下げを受けても、米国株は大幅下落し、米国債券は大幅上昇(金利大幅低下)し、米国10年国債利回りは史上初めて一時1.00%を割り込みました。ドル円も大幅下落となり、107円割れまで円高ドル安進行となっています。
先週末に発表された2月25日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが2月18日時点の85,826枚から110,244枚へ大幅増加、円ロングは58,605枚から53,855枚へ減少し、差し引きのネット円ショートは27,221枚から56,389枚へ大幅増加となりました。この間ドル円は109円台後半から112円台まで急伸したあと110円台まで下落という動きでしたので、この間に増加した円ショートポジションはすでに2月28日にも投げられていると思われます。残る円ショートポジションの整理も昨日までに大方終了したと思われ、現在の水準からさらに大きくドル円が下落するエネルギーは乏しいと思われます。ドル円の107円割れは買い場と判断されます。ただし、2月20日に見られた「リスクオフ=円売り」という市場反応は消失しており、109.50円程度で売りとすべきと思われます。
米国株は大幅下落となりましたが、本日の日本株は下げ渋る動きになっています。日経平均は重要なフシメの21,000円を明らかに意識した動きとなっていますが、すでに米国で緊急利下げがあり、もはやポジティブなニュースフローは想定できないため、下抜けするのは時間の問題だと思われます。