短期投資家の売買活動低下-中長期投資家の動きによる市場インパクトが大きくなる状況
ドル円でも日本株でも、短期投資家の売買活動が低下してきています。まずドル円についてですが、先週末にCFTC(全米先物協会)が発表した4月7日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)では、円ショートが3月31日時点の30,162枚から26,839枚へ減少、円ロングが48,444枚から49,249枚へ微増、差し引きのネット円ロングは18,282枚から22,410枚へ増加でした。なお、円ショートと円ロングの合計枚数76,088枚は、過去5年間の最低水準です。米国10年国債を見ても同様です。CFTCが発表した4月7日時点の10年国債先物ロングは506,164枚、ショートは567,188枚でした。差し引きのネット・ショート61,024枚も、ロングとショートの合計ポジション1,073,352枚も、過去5年間の最低水準です。
先週金曜日の欧米株式市場が休場だったこともあり、本日の日本株の売買は非常に低調です。12時40分現在の現物株の売買代金は9,271億円ですから、今日は2兆円割れ間違いなしです。また日経平均先物の出来高は、わずか16,866枚に留まっています。通常時の出来高が7-8万枚であることを考えると、非常に少ないです。短期投資家の売買活動が低下している背景は、各市場のボラティリティの上昇を受けて、ポジションを削減した後そのまま維持していることや、多くが在宅勤務など通常の勤務環境よりも活動しにくい状況にあることなどが考えられますが、いずれにせよすぐに売買活動が復活する状況ではないと思われます。
一方、中長期投資家は、2月後半からの下落も3月後半からの戻りも、あまりにも市場の変動が急激だったため、ほとんど行動を取れていないと思われます。これまでご説明しているように、中長期投資家は株への配分を削減するタイミングを図っています。短期投資家が供給する流動性が低下している中、ひとたび中長期投資家が動き始めれば、その市場インパクトは通常よりも大きくなることが想定されます。つまり、明確な下落の動きが出るまでは値幅の小さいもみ合いだが、明確な下落が始まれば中長期投資家が一斉に動き出し下落スピードが加速する、という展開になりやすい状況だということです。
明確な下落の動きの起点になるのは、やはり米国株だと思われますので、まずは今晩の米国株の動きに注目です。なお、日本時間の今朝、OPECプラス各国は日量970万バレルの減産合意をしましたが、時間外の米国株先物はそれを好感することはなく1.5%程度の下落となっています。