米シェール業者初の破綻-ジャンク債市場は混乱に向かう
昨日、米国の主要シェールオイル産出業者のひとつであるホワイティング・ペトロリアムが、米国破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)を申請し、事実上の経営破綻となりました。負債総額は36億ドルだそうです。同社は米国で上場しており(ティッカーはWLL)、2014年には371.68ドルだった株価が、昨日終値は0.37ドルですから1000分の1になっていました。
シェールオイル産出業者のビジネスモデルは、初期投資費用をジャンク債発行などで調達し、操業を行います。投資の償却費用や借入金返済費用などを含めた、会計上の損益分岐点となる原油価格は50-60ドル、日々の操業だけでの損益分岐点となる原油価格(キャッシュ・コスト)は30ドル程度です。つまり、現状の原油価格20ドルでは、操業すればするだけ赤字が膨らむ状態です。
したがって、20ドル水準の原油価格が続けば、経営破綻するシェールオイル業者がホワイティング・ペトロリアム1社に留まるわけはなく、経営破綻の動きは広がっていくでしょう。それは、彼らが資金調達のために発行したジャンク債のデフォルト(債務不履行)となります。またCLO(ローン担保証券)に組み込まれている可能性もあります。投資適格であるBBBに満たない格付けの社債のスプレッド(同年限の国債利回りに対する利回り上乗せ分)は急拡大が予想され、投資家に損失をもたらします。
リーマンショック時も問題になりましたが、ジャンク債の最大の問題は、市場がリスクオフとなると買い手がいなくなり、売却したくてもできないという流動性の問題です。投資家は資産全体のリスクを低下させるためには、流動性がある株式を売るしかありません。市場需給の悪循環はこれからが本番です。