日本株は反発-絶好の売り場
先週金曜日の米国株は下落しましたが、本日の日本株は大幅反発となっています。朝方の、「安倍首相が非常事態宣言を出す意向を固めた」という報道を受けた動きで、おそらく背景は、非常事態宣言が出たら日本株は下落する、ということに賭けていた短期投資家が、下落しないことを受けて手仕舞いの買い戻しを入れてきた、ということだと思われます。欧米での1日のウィルス感染者の死亡数が減少に転じてきたことを受けて、時間外の欧米株先物が反発していたことも、背景となっているでしょう。
しかし今日で株式市場の下落トレンドに変化が出た、と考えるべきではないでしょう。先週の米国失業保険申請件数や米国雇用統計に見られるように、経済的被害は想定をはるかに超えています。また、企業業績への影響など、まだ数値化(金額化)できない経済的被害がほとんどで、市場が被害額を織り込んだとは思えません。
さらに、中長期資金を運用する大手運用会社は、必ず資産配分の見直しを行い、株への配分比率を引き下げる動きをとってくるはずですが、まだ今月そのような動きは見られません。下落が止まっているために、株削減の動きが出ていないに過ぎず、新たな明確な下落が始まったら株削減の動きが一気に広がり、下落が加速することが予想されます。
2月後半以降、これまでに「ポジション変更」の対応ができた投資家は、まだごく少数であると思われ、潜在的な売り需要はまだ巨額です。ボラティリティは上方にも作用する(下落相場の上への調整は短期的値幅が出やすい)ということであり、今日の反発は「絶好の売り場」と捉えるべきでしょう。