米国株急上昇-基本シナリオは維持するも戦術的対応を
昨日の米国株は、各指数とも7%以上の急上昇となりました。本日の日本株も続伸となり、3月末の水準まで戻る見込みで、米国株も日本株も直近の下落分をすべて戻す、ということになります。米国株急上昇の背景は、欧米での新規ウィルス感染者数がピークアウトしてきた、ということとされていますが、昨日の日本株も米国株も個別銘柄の動きを見ると爬行色はなく、何かを織り込みに行ったという形跡はありません。買い戻し主導の反発にトレンドフォロー型の自動売買運用が動きを加速させた、ということだと思われます。
日本株の基本的な見方は、変更ありません。つまり、中長期資金の運用会社の資産配分変更に伴う株売却を背景に、新たな下落波動入りで、目先の下値目処は3月25日高値19,564円から15%下落の16,600円近辺、ということです。ただし、直近の急激な戻りを踏まえて、しばらく「17,500-19,000円程度のレンジでの値動きの激しいも見合い」というフェーズを挟んでから最後は下抜け、という可能性が浮上しました。
この局面で新規の買いを入れる投資家がいるとは思えないため、買い戻しが一巡すれば上昇は止まりますが、上述の配分変更売りが来るまでは下抜けもしにくい、ということです。現在の状況は、間違いなく配分変更がなされる環境なのですが、まだそれが行なわれている動きは出ていません。その理由として考えられるのが、資産配分変更決定責任者は例外なく「順張り(下落が明確になってから売りの決断をする)」であることに加え、ロックダウンの影響などで配分変更という大きな決断を行なう重要会議が行ないにくい環境にあるという可能性があります。
繰り返しになりますが、ウィルス感染拡大がどこまで続くかも見えない中、経済的被害を金額化することは不可能であり、今回のウィルス被害を市場が織り込んで、株価が底打ちして本格的な反転に向かう、という可能性はゼロです。株が反発してくると、強気派が元気になり楽観論を展開しますが、その内容を落ち着いて確認すれば根拠が希薄であることがご理解いただけるはずです。基本観はぶらさない上で、実際の動きに即した戦術で臨みましょう。