米モデルナ社のワクチン経過良好で株高だが、上抜けではなくレンジシフトか
昨日、米国のバイオベンチャーのモデルナ社が、新型コロナウィルスワクチンのフェーズ1の結果は良好だったと発表し、それを受けて経済活動完全再開の早期実現期待が高まり、米国株を初め世界的に株高となりました。今後のスケジュールは、まもなく始まるフェーズ2が成功すれば、早ければ7月にフェーズ3入りするとのことです。通常はフェーズ3入りして、認証には早くても1年はかかりますが、今回の場合は特例的に認証プロセスが早められる見込みです。ただ、そうは言ってもフェーズ3は数千人を対象にした臨床治験であり、認証が何とか年内に間に合うかどうか、というスケジュール感です。
ワクチンの発売は最も早くて来年1-3月となりますが、年内にウィルス感染の第2波、第3波が来ることが予想されること、そもそもワクチン開発が最短期間でうまくいくのかの保証はないこと等を考えると、市場がこのまま経済活動完全再開、企業業績の底打ち反転を織り込み続け、株式市場が上昇トレンドに転換したとは思えません。
株式市場の見方の基本観に変更はありません。すなわち、目先はレンジ相場が継続すると考えます。しかし昨日の欧米株の大幅上昇で、5月11日のコメントでご説明した「レンジシフト」が起きた可能性はあります。先週は、日本株だけがレンジシフトの動きをし、米国株との動きの差に違和感がありましたが、日経平均とNYダウの差も元の4,000にほぼ戻り、違和感は解消されました。
なお、モデルナの株価はフェーズ1成功の発表を受けて20%上昇しました。引け後に、公募増資を行なうことが発表され、の売り出し価格が75-77.50ドル(引け値よりも5%程度下)とされました。好材料を発表して株価が大幅上昇したところで公募増資の発表とは、あまりのタイミングのよさに何か引っかかるものがあります。