米国の中国攻撃継続-全人代で中国は反撃を表明するか
米中対立が深刻化しています。昨日米国で、米国上場の中国企業を上場廃止にできる法案が、上院で全会一致で可決されました。その内容は「米国上場の企業に、外国政府の管理下にないことの証明を求める。企業がそれを証明できないか、米公開会社会計監査委員会(PCAOB)が3年連続で監査して外国政府の管理下にないと断定できない場合、当該企業の上場は廃止される」というものです。対象となる、米国基準の監査報告書を提出していない米国上場の企業は、中国企業213社とベルギー企業11社で、事実上、米国上場の中国企業が対象となります。
トランプ大統領のツイッター攻撃も止まりません。今日も「中国の報道官は、中国が(新型コロナウィルスを)世界に広め、大虐殺に繋がったことを必死にそらそうとするばかげた発言を繰り返している。欧米に対する偽情報の発信は道徳に反する。それは上層部からの指示だ。彼らは簡単にこの疫病を止めることができたのに、それをしなかった」と中国政府を激しく非難しています。WHOをめぐっても一歩も引きません。
中国では5月22日に全人代(全国人民代表大会)が開幕します。全人代は通常毎年3月5日に開幕する、国会に相当する重要会議で、今後の経済政策など重要事項が議論される場です。今年はウィルスの影響で開幕が延期されました。この場で、習指導部は中国がいち早くコロナを克服できたことをアピールし、共産党政治の優位性を内外に誇示すると思われます。その流れからすれば当然、トランプ大統領からの非難を踏まえた発言があるでしょう。その内容次第では、トランプ大統領が激怒して、米中関係が一層悪化する可能性があります。
現在の市場は、経済活動再開から正常化、ワクチンの早期開発など、先行きがおぼろげなことに期待感を高まらせている状況にあります。米中対立激化は、株式市場の調整のきっかけとしては十分でしょう。下落に対する備えを整えておくべきでしょう。