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2020年5月22日のマーケット・コメント

今年3月安値はリーマンショックの時のどこに相当するか

 

本日の日経新聞16面の「スクランブル」に、「今年3月安値はリーマンショックの時で言うと、2008年10月ではなく2009年3月に相当する。すなわちもはや大幅な下落はない。なぜならば今回は景気のボトムが一気に見えたからだ」という趣旨のSMBC日興証券のストラテジストのレポートが紹介されています。この点に関して、私の考え方をご説明します。

 

結論から言うと、今年3月安値はリーマンショックの時の2008年10月にも2009年3月にも相当せず、相当するのは2008年3月だ、と考えます。日経平均は、今年は2月の24,000円程度から3月の16,500円程度まで約31%下落しました。一方、リーマンショックに至る株価調整が始まったのは2007年7月で起点は18,300円程度でした。18,300円から31%の下落は12,600円程度です。

 

2007年7月からの実際の日経平均の動きは、2007年8月に15,262円まで下落、10月には17,489円まで戻るも11月には14,670円まで下落、少し戻してから2008年1月には12,573円まで下落、少し戻してから3月には11,691円まで下落して当面の安値をつけました。2008年3月にはベアスターンズ証券が破綻し、市場では「これで最悪期は脱する」という雰囲気が支配的になり、2008年6月には14,601円まで戻りました。3月安値から25%の上昇です。なお、今年3月安値16,500円から25%上昇は20,625円となり、今週の高値水準とほぼ符合します。

 

2007年から2008年に賭けての下落局面では「サブ・プライム・ローン問題により、金融機関が大きな損失を蒙り、その結果景気悪化することを先取りしているが、大手金融機関の破綻が最悪の象徴になる」と市場では考えられていました。今回ですが「サブ・プライム・ローン問題」を「新型コロナウィルスの感染拡大」に置き換え、「金融機関が大きな損失を蒙り」を「主要各都市がロックダウンなど経済活動制限を行なうことにより」に置き換えてみると、状況がそっくりなことがわかります。

 

上記の「今回は景気のボトムが一気に見えた」との判断には、何の根拠もありません。いわゆる希望的観測にすぎません。第2次感染ブームの到来やその規模が第1時ブームと比較してどうなるのか、など不透明要因はまだたくさんあります。

 

つまり、リーマンショックの時は2007年7月から2008年3月まで8ヶ月かけて「思い込みの安値」まで下落しましたが、今回は、原因がウィルスのパンでミックであるため、時間が早回しになり、2020年2月から3月のたった1ヶ月で「思い込みの安値」に到達した、ということです。

 

リーマンショックの時に2008年6月以降どうなったかは、説明するまでもないでしょう。(添付ファイルをご覧ください)

日経平均2007-2009年と2020年

今回も「コロナショック本番」が今後やってくることを覚悟する必要があります。「2番底」論者が減れば減るほど本番到来の確率が上がることを、最後に申し添えます。