ついにNASDAQも調整局面へ
昨日の米国株は、寄り付きから大幅上昇で推移していましたが、引けの2時間前から急速に上げ幅を縮小し、結局NYダウはほぼ横ばい、S&P500は小幅下落、NASDAQは大幅下落で引けました。3月安値から現在に至る戻り相場で、NYダウとS&P500は6月8日に戻り高値を付け、その後はもみ合いの動きとなっていましたが(S&P500は6月8日の戻り高値を昨日一瞬更新)、NASDAQは史上最高値更新を続けて上昇していました。NASDAQがNYダウやS&P500よりも明確に弱い動きとなったのは、今回の戻り相場で初めてのことです。
3月安値以降これまでの動きを言い換えると、テクノロジー銘柄やインターネット関連銘柄を中心とするグロース株が、景気敏感銘柄や金融を中心とするバリュー株に対して、一貫して買われ続けた、ということになります。つまり、利益成長性が高い(と思われる)銘柄は、割高な状態から更に割高になり続け、コロナ影響を大きく受ける(と思われる)銘柄は、いくら割安でもまったく買われて来なかったのです。グロース銘柄とバリュー銘柄の格差は、ネットバブルの2000年以来の水準となっています。
その象徴がテスラモーターズです。コロナで大幅下落前の2月高値は945ドルでした。3月安値は351ドルと大幅に下落しましたが、その後は一貫して上昇基調が続き、6月10日には年初来高値を更新、7月には上昇が加速し、昨日の高値は1795ドルまでありましたが、引けは1497ドルまで下落しました。時価総額がトヨタをはるかに上回る30兆円の銘柄が、何のニュースもない中で日中高値から引けまでに17%も下落する動きは尋常ではありません。大きな流れが変わった可能性が高いと見るべきでしょう。
だからと言って、グロース株からバリュー株への資金シフトが起こり、グロース株が売られてバリュー株が買われる、という一部で言われているシナリオには無理があると思います。米国をはじめ各国でウィルス感染は再拡大の動きが広がっており、景気先行き見通しは下ぶれていく状況だからです。実際に、カリフォルニア州は経済活動再開プロセスの後退を決めました。
結論としては、相場見通しに変更ありません。中長期投資家や個人投資家の株削減の動きが始まったら、グロース株主導で大幅下落、それが始まるまでは短期投資家主導のトレーディング相場が継続、です。