米国大型グロース株バブル崩壊始まる-一度戻りがあるがそこは絶好の売り場
米国の3連休明けとなった昨日、米国株は大幅下落しました。NYダウは2.3%安、S&P500は2.8%安、NASDAQは4.1%安と、グロース株が下落を指導しました。象徴銘柄のテスラモーターズは21%もの暴落となりました。時価総額40兆円が1日で30兆円になったわけですが、個別の悪材料もない中でのこの動きは、明らかなバブル崩壊の始まりと見ていいでしょう。日本の信用取引と同様に、米国でもマージン・トレードというレバレッジを使った投資手法があり、今年新規参入してバブルを醸成した個人投資家の多くがマージン・トレードや個別株オプションを使ってレバレッジを取っています。言うまでも無く、株価の大幅下落は追証につながり、追証対応できなければ強制売却です。
今後注意が必要な点は、バブル崩壊の初期には一旦の戻りがあることが多い、という点です。前回のコメントでご説明したように、全員が一斉に動いているのではなく「株を買いたいが押し目待ちに押し目なしの展開が続き、やっと待ちに待った押し目が来た」「株は割高だと思ってカラ売りしたが、株価上昇が続き含み損が膨らみ、損切りの機会を待っていた」という、一言で言うと「最も下手な投資家」の買いが入るからです。高値を更新することはありませんが、最大限では高値に迫る程度まで戻ることもあります。2000年3月のネットバブル崩壊が始まった時のNASDAQもそうでした。なお、戻りは一度だけで、その後は二度と戻りはありません。
投資行動としては、一旦下げ止まったと思われるところで、下落から収益を得るポジションを一旦軽くして(一部をポジション・クローズして)、戻る過程でポジションを取り直す、という対応がお奨めです。ポイントは、戻り切ったと思われるところではポジションを取り直すのは遅い、ということです。戻りきったところからの下げは激しく、ポジションを取ることが躊躇されるリスクがあるからです。
ところで、S&P500の昨日の引け値は3331.84で、これは8月5日の引け値3327.77とほぼ同水準です。日経平均の8月6日引け値は22,418円ですから、現状水準の22,900円はそこから500円高いことになり、明らかに下げが足りない印象です。日本株固有の好材料は見当たらないことから、この背景は「米国株はいずれ戻る」ということを日本株市場が織り込んでいる、ということだと思います。今晩以降も米国株の下落が続けば、日本株も早晩帳尻合わせの下落をすると思われます。
あまり当てにしないでいただきたいのですが、私がイメージする「一旦下げ止まって戻りに転じる水準」ですが、バブル主役のNASDAQは高値から20%下落、その他指数は高値から10%下落程度の水準です。NYダウの直近高値は9月3日の29,199ですので、10%下落は26,279、日経平均の直近高値は9月3日の23,581ですので、10%下落は21,223となります。NASDAQの高値は9月2日の12,074ですから、20%下落は9,659となりますが、大台の10,000近辺までの下落にとどまるかもしれません。