原材料価格上昇の悪影響顕在化始まる
日本では7-9月期業績発表が続いていますが、資源価格高騰による原材料価格上昇により、企業業績が悪影響を受ける状況が、徐々に顕在化してきました。
JFE(5411):11月5日に発表された業績は、鉄鉱石および石炭の価格上昇分を十分に販売価格に転嫁できず、すでに業績発表していた日本製鉄(5401)の業績と比べると見劣り。8日の株価は一時12%下落。
大林組(1802):11月8日12時に発表された業績は、鋼材を初めとする建設資材価格の上昇により、通期営業利益予想を950億円から345億円に大幅下方修正。8日後場の株価は一時11%下落。
清水建設(1803):11月8日13時に発表された業績は、上期営業利益は前年同期比77%減益の105億円。通期営業利益予想は765億円に据え置かれたが、明らかに未達ペースで8日後場の株価は一時9%下落、本日も続落。
川崎重工(7012):11月9日11時30分に発表された業績は、鋼材価格上昇の影響で通期経常利益予想を280億円から220億円に、通期当期利益予想を190億円から150億円に下方修正。後場の株価は一時10%下落して年初来安値更新。
決算説明会やその後のアナリストの取材で「原材料価格上昇の影響をまだ数値化できないが、明らかに利益下押しリスクはある」とコメントする企業は少なくないと思われ、業績のピークアウトから失速リスクが今後織り込まれていく可能性は高いと思います。最もリスクが高いビジネス・モデルは、ゼネコンのように「先に売り上げ価格が決まり、完成納期までの期間が長く、その間のコスト上昇を転嫁できない」という形です。