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2021年12月15日のマーケット・コメント

今回のFOMCの注目点

 

いよいよ米国時間の今日(日本時間の明日午前4時)に、FOMC声明の発表とパウエルFRB議長の会見があります。そこで、今回のFOMCの注目点を整理します。振り返ると、6月FOMCからFRBのタカ派シフトが始まりました。以下が主要事項のまとめです。

6月FOMC:2022年中の利上げ予想人数が3月時点の4人から7人に増加し、FOMC後に一部の連銀総裁がテーパリング開始議論に言及

9月FOMC:2022年中の利上げ予想人数が18人中9人に増加し、テーパリング開始議論の必要性を公式に表明

11月FOMC:テーパリング開始を決定。それまでの毎月1,200億ドルの債券買い入れを、11月と12月はそれぞれ毎月150億ドルずつ減額

 

今回のFOMCでは、1月から買い入れ減額額を毎月300億ドルに倍増させ、テーパリングを3月で終了させることを決めることは市場コンセンサスとなっています。昨日発表の米PPIは、事前予想の前年比+9.2%を上回る+9.6%だったこともあり、テーパリング加速決定は確実だと思われますが、これは予想通りであるため注目材料ではありません。テーパリング終了後の利上げペースに関するコメントは、来年4月時点の感染状況は予測不能なため、これまで通り「状況に応じて柔軟に行動する」とするしかないと思われ、これも注目材料にはならないでしょう。したがって、今回の注目材料はドットチャートの変化になります。

FOMCドットチャート20210922

1.2022年に3回以上の利上げ予想をする人数

9月時点のドットチャートでは、2022年中に2回の利上げ予想が3人、1回の利上げ予想が6人、利上げなしの予想が9人でした。その後のインフレ加速により今回はタカ派シフトすることは確実ですが、市場コンセンサスはすでに2022年中に2-3回の利上げ予想となっています。おそらく前回2回予想の3人は今回3回を予想すると思われますが、前回1回予想の6人のうち何人が今回3回予想となるかが注目です。

 

2.2023年末までに6回以上の利上げを予想する人数

9月時点のドットチャートでは、2023年末までに6回の利上げ予想は3人で、4回が6人、3回が1人、2回が3人、1回が4人、利上げなしが1人でした。現在の市場コンセンサスは5回となっていますので、6回以上の利上げを予想する人数がどれだけ増加するかが注目材料です。

 

3.Longer Termの中央値の変化

ドットチャートには2022年末、2023年末、2024年末のFFレート予想のほかに、Longer Term(長い目で見た中立状態の金利水準予想)という項目があります。予想の中央値は3月、6月、9月ともに2.5%で変化ありませんでしたが、もし今回変化があれば、インフレ見通しとそれに対する金融政策対応の見方が大きく変化したことを示唆する重要な注目材料です。