ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2021年12月16日のマーケット・コメント

12月FOMC-予想以上のタカ派シフト

 

日本時間の本日午前4時にFOMC声明が発表され、テーパリング加速に関しては大方の予想通り1月から債券買い入れ額は毎月150億ドルから300億ドルに倍増が決定され、来年3月にテーパリングは終了することになりました。全会一致の決定でした。発表後の会見でパウエルFRB議長は「経済情勢と見通しの変化が、金融政策の進化を正当化している」「経済は最大限の雇用に向けて急速に進展している」と発言し、高インフレ継続の可能性を認めたことを示唆しました。

 

昨日のコメントでご説明したドットチャートの注目点の結果は、以下の通りでした。

FOMCドットチャート20211216

1.2022年に3回以上の利上げ予想をする人数

今回発表されたドットチャートでは、2022年中の予想利上げ回数は、4回が2人、3回が10人、2回が5人、1回が1人で、18人中12人が3回以上の利上げを予想する結果となり、利上げ予想回数の中央値は前回の1回から3回に一気に増加しました。予想以上のタカ派シフトといえます。

 

2.2023年末までに6回以上の利上げを予想する人数

2023年末までの利上げ予想回数は、8回が3人、7回が5人、6回が3人、5回が5人、4回が2人で、18人中11人が6回以上の利上げを予想する結果となり、利上げ予想回数の中央値は前回の3回から6回に、一気に増加しました。こちらも予想以上のタカ派シフトです。

 

3.Longer Termの中央値の変化

ドットの分布は前回とまったく同じで、中央値は2.5%のまま変化はありませんでした。

 

発表を受けた米国市場の反応ですが、米国株は上昇、米国債券は小幅下落(金利小幅上昇)、米ドル小幅上昇となりました。米国債券市場では長期債券よりも短中期債券の下落が大きく、イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化しました。米国10年国債利回りは前日の1.44%(期待インフレ率2.42%&実質金利-0.98%)から1.46%(期待インフレ率2.48%&実質金利-1.02%)に小幅上昇となりました。

 

FOMCの発表が日本時間の午前4時で米国市場の取引終了が午前6時なので、わずか2時間の取引だったので、この間に動いたのは主に短期投資家だったと思われます。米国株に関しては、今回のFOMCというリスク・イベントに備えたヘッジ売りの解消、米国債券に関しては短期投資家の長期債先物ポジションがまだショート(カラ売り=金利上昇にベット)に大きく傾いていることが背景だと思われます。何かを織り込んだ継続的な反応とは思えない、ということです。特に、FRBがこれだけ明確に金融政策の引き締め転換を表明したにもかかわらず、実質金利が最大限の緩和姿勢だった昨年の後半と同水準である-1.0%であることには合理的説明が出来ず、短期投資家のショート・ポジションの解消の進行とともに実質金利が上昇する形で米長期金利が上昇することが予想されます。当然、米国長期金利上昇は米国株にはネガティブです。

 

米国長期金利の上昇が当面ないとしても、今回のFRBの政策転換により米国株も「高値もみ合い」のフェーズにあることが確実となりました。「高値もみ合い」のフェーズとは、高値圏でのレンジ内で様々なニュースフローにより上げ下げする、という状況であり、短期適当し戦略としては逆張りが有効です。日本株はすでに今年2月から完全に「上昇」から「高値もみ合い」のフェーズに転換しており、それ以降これまでの日経平均のレンジは27,000-30,000円です。ただ毎回レンジの下限と上限に達するとは限らないので、実際にはある程度の水準になったら売り上がり(買い下がり)を始めて、レンジの下限や上限に達しても余裕があるようなポジション管理をする、とすべきです。日経平均でいえば、今日現在の29,000円程度の水準は売り上がりを始めて問題ないと考えます。(現物株口座であれば1357などのインバースETFの買い下がり)

 

なお、これまでご説明してきた通り「高値もみ合い」の次のフェーズは「下落」であり、もう一度「上昇」に戻ることはありません。つまり、時期はわかりませんが、いずれレンジを抜けるのは上ではなく下であるため、戻りを売って押し目で買い戻す方が押し目を買って戻りで売るよりも安全です。