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2021年12月8日のマーケット・コメント

やはり先週金曜日の米国市場は単なる「リスクオフ」だった

 

前回のコメントで、先週金曜日の雇用統計を受けた米国市場の整合性の取れない動きは、単なるリスクオフ(短期投資家のポジション削減)と見られるとご説明しました。今週月曜日火曜日の米国市場は特段のニュースフローのない中で、米国株2日続伸、米国債券2日続落(金利上昇)となりました。2日間でNYダウは3.3%、S&P500は3.3%、NASDAQは4.0%の上昇、米国10年国債利回りは1.35%(期待インフレ率2.46%&実質金利-1.11%)から1.48%(期待インフレ率2.53%&実質金利-1.05%)に上昇しました。やはり先週金曜日の米国市場反応はリスクオフで、そのリスクオフはほぼ完全に解消されたと見られます。

 

目先の注目材料は、やはり12月10日の米CPIです。前月実績の前年比+6.2%に対して、事前予想は6.8%となっています。事前予想を上回れば、もちろん12月15日FOMCでのテーパリング加速決定が確実視されるようになりますが、事前予想を下回っても前月の6.2%を上回れば、インフレ加速が止まっていないということで、やはりテーパリング加速決定の可能性が高まると思われます。

 

その場合、米国債券市場は期待インフレ率と実質金利がともに上昇し、金利水準は大幅上昇し、米国株はグロース株主導での下落となると予想します。現在、日本株には主体性がない(日本独自の材料がない)状況なので、米国株が下落すれば、日本株も下落すると思われます。例年この時期は個人投資家の実現損益確定売りが出やすい時期でもあり、今週は10日の米CPI発表に向けて、日本株は戻り売り姿勢で臨むべきと考えます。

 

もし10日の米CPIが6.2%を下回り、インフレ鎮静化が始まったとして米国株が上昇した場合は、そこは絶好の売り場と考えます。テーパリングの早期終了は、将来のリスクに備え政策の裁量自由度を早期に確保するということで、引き締め政策に転じるということではないため、強く反対する理由が見当たらないことに加え、パウエルFRB議長は米上院銀行委員会という公の場で「高インフレは一時的なものではなく、FRBは金融当局としてテーパリング加速を検討すべきだ」「次回12月15日のFOMCで、債券購入を予定よりも数ヶ月早期に終了する是非の議論を行なうことが適切だと考える」と発言しており、事実上確約したに等しい状況です。私は、10日の米CPIがどのような結果でも、12月15日FOMCでテーパリング加速が決定されると考えます。

 

なお、オミクロン株出現で経済正常化が遅れ、将来のインフレ圧力が弱まる、との見方があるようですが、それは完全に間違っています。現在の高インフレの原因は、世界各地でウィルス感染が不規則に拡大収束を繰り返すことで、需要が大きく増減していることに供給が対応できていないこと、およびロックダウンに伴う工場操業停止や輸送の滞りなどによるサプライチェーン問題です。今回のオミクロン株の出現は、ウィルスは変異を繰り返しながら存在し続け、場合によってはワクチンの仕様変更が必要になる、ということを示しています。つまり、高インフレの原因はなかなか解消されない、ということを示唆しています。

 

ところで、中国恒大集団ですが、11月6日が利払い日だった米ドル建てオフショア社債の利払いを、支払猶予期間の期限となる昨日までに利払いが行なわれなかった、ということです。これで格付け機関からデフォルト宣言され、正式な債務整理手続きに入ることが確実になりました。地元の広東省政府から、恒大集団の許会長を呼び出したとの報道もあり、債務整理計画の発表が待たれます。以前ご説明したとおり、オフショア社債の保有者の弁済順位は、株式保有者の次に低くなり、現在織り込まれている20%程度の弁済率よりも低くなる可能性が高く、新たなリスクオフの火種となるでしょう。