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2021年2月1日のマーケット・コメント

今日もまた日本株だけが大幅上昇

 

先週金曜日の米国株は、ゲームストップに代表される過度な投機的売買に対する規制強化懸念などからNYダウ、S&P500、NASDAQの3指数ともに約2%下落しました。ところが本日の日経平均は、寄りから30分間で300円上昇し、その後もじり高基調を続けて、結局大幅上昇で引けました。なお、NYダウの時間外先物は、金曜日の15時15分(先物の日中引け時点)で約370ドル下落で、米国の金曜日の引けは620ドル下落でしたので、日本株が金曜日に織り込んでいた以上に米国株は下げました。また本日の日本株の寄り直前は200ドル以上の下落でした。

 

今日も米国株下落を無視して、ドル円など外部環境やニュースフローに何の変化もない中で、またしても日本株だけが上昇するという、理解や解釈に苦しまされる日となりました。前営業日のNYダウが620ドル下落で、翌日の日経平均先物がニュースフローなく570円上昇するという現象は、記憶にありません。日経平均が個別銘柄の10-12月期の業績発表が行なわれていますが、総じて業績は回復基調を示し、通期予想の上方修正が散見されますが、個別銘柄の株価反応はまちまちであり、日本株だけが強い理由にはならないでしょう。

 

今日も大幅上昇した割には出来高が少なく、おそらく「中長期投資家が積極的に売買しない中、短期投資家が先物を中心に値幅取りをする」という、昨年12月29日に始まった「トレーディング相場」が、いまだに継続しているということだと思われます。

 

一方で、米国株市場はかなり値動きを変えてきています。11月半ばから日々穏やかな値動きでじり高基調が続いていましたが、1月27日、29日と立て続けに大陰線が2本立ち、NYダウは大台の30,000ドルを引け値で割り込みました。これは12月14日以来となります。ゲームストップ株は相変わらず、ものすごい勢いでの乱高下が続いており、米国株市場にとどまらず、米国短期個人投資家の標的は銀相場にまで波及しています。

 

米国での取引規制がどのような内容になるのかは不明ですが、取引規制は市場にとっては良いことではありません。規制による混乱が必ず起きるからです。また、投機的活動の高まりによる、過度なボラティリティ(価格変動性)の上昇は、一部の投資家の巨額な損失計上、それによる信用収縮の原因となりえます。その典型例が、1998年のLTCM破綻です。

 

日本株もいつまでも米国株を無視し続けられるとは思えず、米国株が更に調整色を強めてきた場合、日本株が一方通行の大幅下落となる日がいずれ来ると考えます。