これまでのところ「予想通りの強い回復」に対する株価反応は下落
2月決算の安川電機(6506)から始まった今回の業績発表ですが、4月22日の日本電産(6594)から3月期決算企業の業績発表が本格化しています。4月22日付のコメントで「予想通りの強い回復に対する株価反応に注目」とご説明しましたが、日本電産に対する株価反応は下落でした。その後も、エムスリー(2413)、日東電工(6988)、オムロン(6645)が、やはり予想通りの業績予想に対して株価反応は下落でした。これは米国株市場でも同様で、テスラ、スリーエム、マイクロソフトなどが、予想通りの業績回復に対して株価下落の反応になっています。
業績予想が市場予想を上回った富士電機(6504)は上昇、市場予想を下回った京セラ(6971)は下落と、市場予想に対するブレに対しては素直な株価反応となっています。米国株市場でも同様で、グーグルの親会社アルファベットやAMDが市場予想を上回る業績予想を受けて株価上昇しています。
日本ではまだ業績発表が本格化したばかりで今後多数の企業が業績予想を発表しますが、世界景気が回復しているとは言え、まだ地域差がまばらな状態であることや、原材料価格や輸送費用が上昇していることなどを踏まえると、市場予想よりも慎重な業績予想を発表する企業が多数になると思われます。だとすれば、今回の業績発表は全体の株価の下押し圧力になる可能性が高い、ということになります。
サイトのトップページにある「相場のサイクル」で言うと、米国の実質金利(物価変動国債利回り)が明確に上昇を始めた2月半ばに「上昇」のフェーズから「高値もみ合い」のフェーズに移行したと思われます。フェーズ移行のサインは「高バリュエーションの成長株の株価上昇が止まること」ですが、実際に米国の実質金利の上昇により、それまで株価上昇が大きかった成長株の株価上昇は止まっています。その典型がテスラでしょう。バリュー株(景気敏感業種)のウェイトが高いTOPIX、S&P500、NYダウは違いますが、グロース株のウェイトが高い日経平均やNASDAQは、2月半ばが高値となっています。
話題がばらばらになり恐縮ですが、相場の有名な格言に「Sell in May(5月に売れ)」があります。これは経験的に(理由ははっきりしませんが)5月から10月の株価上昇が、明らかに11月から4月の株価上昇に劣っていることからくる格言です。特に日本では5月はじめに大型連休があるため、連休明けに相場が変調をきたしやすいという面もあります。
以上を総合すると、5月に「高値もみ合い」のも見合いの下限を試しに行く可能性が高い、と考えられます。イメージしているもみ合いのレンジは、日経平均で27,000-30,000円ですが、200日線(現在26,123円)トライまでの下値がある可能性もあるでしょう。
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