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2021年7月14日のマーケット・コメント

米CPI上ブレで債券市場の行き過ぎが修正へ

 

昨日発表された米国CPI(消費者物価指数)は、前月比総合が事前予想の+0.5%を上回る+0.9%、エネルギー・食品を除くコアCPI(前月比)も事前予想の+0.4%を上回る+0.9%となりました。前年比では、CPI総合が事前予想の+4.9%を上回る+5.4%(前月は+5.0%)、コアCPIが事前予想の+4.0%を上回る+4.5%(前月は+3.8%)でした。半導体不足による自動車生産の滞りが原因の中古車価格の高騰など、一時的と見られる要因を排除したベースでも前年比+2.9%と、FRBが目標とする+2.0%を大きく上回っています。

 

この発表を受けて、米国債券は下落(金利上昇)し、米ドルは小幅上昇となりました。米国10年国債利回りは、先週木曜日には1.29%(期待インフレ率2.24%&実質金利-0.95%)まで低下していましたが、昨日引けでは1.42%(期待インフレ率2.39%&実質金利-0.97%)まで戻っています。インフレは一時的ということを織り込んで、低下しすぎた期待インフレ率が戻る形での金利上昇となっています。米国株は小幅下落でしたが、CPI発表で何かを織り込んだというよりも、連日の最高値更新からの反落と言える範囲の反応にとどまっています。

 

期待インフレ率は、年初に2%を超え、5月半ばには2.56%まで上昇していましたが、商品市場での投機的上昇のピークアウトに加え、6月16日FOMC後にパウエル議長をはじめハト派FRB高官から「今は利上げを考える時期ではない」との発言が繰り返されたことを受けて、先週木曜日には2.24%まで低下し、いわばインフレ圧力の解消を織り込みすぎた状況でした。それが今回のCPI発表で「インフレ圧力が一時的なものかはまだ不明」という織り込みに戻ると思われ、米国10年国債利回りは少なくとも1.50%への上昇余地があると思われます。

米国10年国債利回り推移内訳20210714

長期金利が反転上昇に向かう中で、米国株の上昇が続くとは思えず、米国株ももみ合いの下限を試しに行く展開になる可能性が高いと思われます。NYダウで言えば、まずは75日線(現在34,131ドル)、その下は6月18日の直近安値33,272ドルが下限の候補となります。その下のフシは、2月高値、3月25日の戻り安値、200日線の32,000ドルで、その水準は金融政策や企業業績の見通しに大きな変化がない限り割り込まないと考えられます。

NYダウ20210714