米小売売り上げ下ぶれ&日経平均は戻り売り
昨日発表された米小売売り上げは、事前予想の前月比-0.3%を大幅に下回る-1.1%でした。消費先がサービスにシフトし始めているとの見方から、事前予想でも前月比減少が見込まれていましたが、予想を大幅に上回る減少の背景には、インフレ率上昇が消費意欲に影響し始め、インフレ率が沈静化するまではこの影響が続く可能性があります。一方、鉱工業生産は事前予想の前月比0.5%を上回る0.9%で、製造業の生産活動は順調であることが示されました。
これらの発表を受けて、米国株は小売株主導に下落しましたが、債券市場の反応は鈍く、金利はほぼ横ばいとなり、為替市場では金利低下によるドル下落に対する警戒感があったようで、米ドルは上昇となりました、ドル円は109.20円から109.55円に上昇しました。
米国市場はそのような動きでしたが、今日の日経平均は前日比変わらずの水準でもみ合ったあと、9時半頃から先物主導で断続的に上昇して、日経平均先物は一時前日比300円高の27,660円まで上昇しました。業種ごとの株価動向を見ると、上昇率上位業種はいわゆるディフェンシブ業種で、景気敏感業種は上昇率下位となっており、個別銘柄は相場全体の株価下落に備える動きとなっています。つまり今日の上昇は、何らかの事情で先物に買い(あるいは買い戻し)需要が発生したことによる一時的な現象である可能性が高い、ということです。
米国株は昨日は下落したとは言え、まだ史上最高値からわずか1%程度の下落であり、まだ調整が続く余地は大きいでしょう。NYダウのチャートを見ると、昨年11月以降は75日線が調整目処となっています。(今年1月、3月、6月、7月)75日線は現在34,579ドルで、昨日引けから2%程度の下落余地です。もし75日線を下抜けると、次のサポートは昨年7月、9月、10月にサポートとなった200日線(現在32,500ドル)ですが、その水準まで調整するためにははっきりとした悪材料が必要で、今のところはそれは見当たりません。
日経平均の今日の反発は、短期的な戻りに過ぎず、26,500円程度までは下落余地がある、という見方を維持します。下落を収益化するポジションをお持ちの方はポジション追加、お持ちではない方はポジション取り始めをご検討ください。