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2022年10月17日のマーケット・コメント

米小売売り上げ&ミシガン大学期待インフレ率

 

先週金曜日に発表された9月の米小売売り上げですが、総合では事前予想の前月比+0.2%(前月は+0.3%から+0.4%に修正)に対して0.0%、自動車を除くベースでは事前予想の前月比-0.1%(前月は-0.3%から-0.1%に修正)に対して+0.1%でした。供給制約による自動車不足の反動による自動車売り上げの押し上げ効果は、完全に一巡したようです。

 

市場材料になったのは小売売り上げではなく、ミシガン大学消費者調査でした。中でも注目されたのが、1年期待インフレ率が事前予想の+4.6%(前月は+4.7%)に対して+5.1%と大幅に上ぶれたことです。これをうけてFRBに引き締め長期化観測となり、米国株は大幅反落、米国債券は下落となり、米国10年国債利回りは前日引けの3.95%(期待インフレ率2.35%&実質金利1.60%)から4.02%(期待インフレ率2.41%&実質金利1.61%)に上昇しました。

 

米国金利上昇を受けてドル円は上昇し、一時149円に迫りました。その後も148円台での推移となっており、1998年の高値147.66円を明確に上抜けしました。これで1985年のプラザ合意後の残るフシメは1990年の160.20円のみになり、もしそこを上抜けるとプラザ合意以前の世界を語らなければ、チャート上の上値目処を示すことができなくなります。

ドル円長期20221017

米国株は、本来であれば悪材料となるはずの13日CPIの上ブレで、明らかにショート・スクイーズ(カラ売りの買い戻しによる踏み上げ)により大幅上昇しましたが、14日に大幅下落したことで買い戻し需要は13日に出尽くしたことが証明された形になりました。現状は短期ポジションがほぼいっそうされた状況で、ファンダメンタルズに素直に反応しやすい相場環境になったと言えます。

 

そのファンダメンタルズは、1.FRBは全速力での利上げを継続&高金利を当分維持、2.企業業績見通しの下方修正、です。1.に関しては市場の織り込みはかなり進んでいますが、まだ市場は2023年秋からの緩やかな利下げ開始を織り込んでおり、織り込み修正の余地は残されています。また2.は始まったばかりで、業績予想の下方修正余地は大幅に残されています。7-9月期業績発表を受けて、日本株でも業績懸念が台頭すれば、日経平均は少なくとも6月安値(25,520円)更新、更には3月の年初来安値(24,682円)の更新の可能性もある、と考えます。