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2022年10月3日のマーケット・コメント

為替介入を経たドル円ポジション-過去の推移から今後を占う

 

先週末に発表された9月27日時点のドル円のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)ですが、円ショートは9月20日時点の116,047枚から105,262枚に減少、円ロングは34,767枚から22,706枚に減少、差し引きのネット円ショートは81,280枚から82,556枚に微増となりました。

 

ご存知のように財務省は9月22日17時ごろに円買いドル売り介入を行ない、先週金曜日に介入規模が約2.8兆円(200億ドル)だったことが発表されました。つまり、9月20日時点は介入前、9月27日時点は介入後ということになります。つまり、介入を受けて円ショートの一部は利食いでポジションを閉じ、円ロングはやれやれの損切りでポジションを閉じた、ということが伺えます。

 

ドル円が、7月14日の高値139.39円を抜いて140円台に乗せたのは9月2日で、そこから一気に9月7日には144.72円を付け、その後しばらく142-145円でのもみ合いとなり、9月22日に145円を突破して為替介入、一時140円台まで押し戻すも介入効果は続かず、すぐに戻って143-145円でのもみ合いとなっています。円ロングは9月6日時点の56,002枚をピークに、9月13日時点では39,323枚に減少しており、9月27日の22,706枚まで損切りのポジション解消が続いたことになります。

 

今年の各ポジションの変動レンジは、円ショートが7万枚-12万枚(過去最高は2018年や2017年の17万枚)、円ロングが1万枚-6万枚(過去最高は2021年の7万枚)なので、9月27日時点の円ショート105,262枚は「かなりの高水準」、円ロングの22,706枚は「かなりの低水準」ということになります。差し引きのネット円ショートは、2万枚-11万枚(過去最高は2017年や2018年の13万枚)なので、9月27日時点の82,556枚は「それなりの高水準」ということになります。

 

ドル円の明確な上昇が始まった今年3月半ば以降の、ドル円とネット円ショートの推移を振り返ると、3月半ばの115円の時点では約6万枚で、120円台に乗せた3月29日には10万枚に増え、その後130円台に乗せた5月10日時点までは10万枚-11万枚程度で推移し、その後は減少に転じます。ドル円はその後も上昇を続け、7月14日には139円台に乗せましたが、その後は8月2日の130.41円まで下落しました。ネット円ショートは5月10日時点の110,454枚から8月9日時点の25,032枚まで、ほぼ一貫して減少傾向が続きました。

 

円ショートは今年3月半ばの7万枚から、2週間で12万枚に増加して以降、あまり変動がなく8万枚-12万枚での推移となっています。日米の金利差、通貨供給量の両面から円安ドル高が示唆される状況であることに加え、円ショートは含み益に状態なので、今後も大きく減少することは想定できません。したがって、ネット円ショートが減少するためには、円ロングの増加が必要です。

 

結論としては、145円を大きく上回るドル円上昇は、目先は想定しにくく、当面は現状水準でのもみ合いの可能性が高い、と思われます。その間に、円ロングが増加してドル円大幅上昇のエネルギーが溜まるのを待つ必要がある、ということです。