なぜ日本株は米国株と比較して強いのか?
8月半ばに日米株ともに戻り高値を付け、その後は日米株ともに調整基調となっていますが、その調整局面で明らかに日本株は米国株に対して下げしぶっています。先週もその傾向が見られましたが、昨日は米国株大幅下落を受けても寄り安から急激に切り返して、日経平均は10時から11時の1時間で600円上昇、その後引けにかけて更に上昇となったことには驚きました。そこで、6月半ばの安値以降の、日経平均とNYダウの値動きを振り返って見ます。
6月安値:NYダウ29,653ドル、日経平均25,520円
8月高値:NYダウ34,281ドル(6月安値比15.6%上昇)、日経平均29,223円(6月安値比14.5%)
なので、6月安値から8月高値までの上昇率はほぼ同じでした。
9月末:NYダウ28,726ドル(8月高値比16.2%)、日経平均25,937円(8月高値比11.2%下落)
となっていることから「調整局面で明らかに日本株は米国株に対して下げしぶっている」ことがわかります。
通常は、前日のNYダウと当日の日経平均の騰落に強い相関がある、という観点で9月21日以降の日経平均の値動きを振り返ってみます。(NYダウは前日の騰落幅)
9月22日:日経平均-159円、NYダウ-522ドル *
9月26日:日経平均-721円、NYダウ-594ドル(22,23日の合計)
9月27日:日経平均+140円、NYダウ-329ドル *
9月28日:日経平均-398円、NYダウ-126ドル
9月29日:日経平均+248円(配当落ち約240円込み)、+549ドル
9月30日:日経平均-485円、NYダウ-458ドル
10月3日:日経平均+279円、NYダウ-500ドル *
10月4日:日経平均+776円、NYダウ+765ドル
*の日は明らかに値動きが違う。
日本株が米国株に対して相対的に底固い理由として、
1.日本株の予想PERは12倍と低く、過去の推移を見ても最低水準。米国株の予想PERは16倍。
2.日本の企業業績は、米国に比べて堅調。
まず、予想PERが低い、という理由に関しては、米国株とほぼ同様に下落しているDAX指数(ドイツ)の予想PERは10倍、CAC指数(フランス)の予想PERは9倍であることを考えると、説得力はありません。
次に企業業績ですが、米国ではすでにフェデックスやナイキなど、主力株で業績懸念の顕在化が始まっています。S&P500の予想EPSは、6月末の229.66をピークに徐々に切り下がり、現在では224.34となっています。一方で、日本ではまだ主力株での業績懸念の顕在化はまだ見られておらず、TOPIXの予想EPSは現在の157.96(4月時点では154.7)に至るまで徐々に切り上がりを続けています。おそらく「日本の企業業績は米国に比べて堅調」ということが、日本株の底固さの理由と見られます。
世界景気減速の中、日本企業だけが業績堅調であるわけはなく、業績懸念の顕在化が「まだ」始まっていないだけですが、業績懸念の存在が誰の目にも明らかになるのは7-9月期業績発表であることを考えると、日本株の底固さは10月終わり近くまで続くかもしれません。ただその場合、11月は帳尻合わせの大幅下落が想定されます。