10月末の外貨準備高-今週は米国で中間選挙とCPI発表
本日財務省が10月末時点の外貨準備高を発表しました。合計額は9月末時点の1兆2,381億ドルから、10月末時点では1兆1,946億ドルとなり、435億ドルの減少となりました。内訳を見ると、証券(大部分が米国債)が9,853億ドルから9,413億ドルに440億ドルの減少で、減少要因のすべてが円買いドル売り介入のための米国債売却だったことがわかります。11月1日付のコメントでご説明したように、すでに10月の為替介入額は6兆3,499億円だったと発表されており「440億ドル=6兆3,499億円」だとすると、ドル円の為替レートは144.32円ということになり、実際のドル円レートの推移とほぼ整合的(3円くらい円高すぎ?)です。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/official_reserve_assets/data/0410.html
また、同じく11月1日付のコメントで
「不思議なのは、8月末から9月末に証券(米国債)は515億ドル減少しており、そのうち200億ドルは9月22日の為替介入と発表されていますが、残りの315億ドルはどこに消えたのでしょう?目立たずに覆面介入していたとすれば、まさに「愚の骨頂」です。目立つことこそが、為替介入の最大の目的だからです。」
としましたが、財務省から本日発表された「7-9月期為替介入実績」で、この期間の為替介入は9月22日の2兆8,382億円のみだったことが発表されました。いわゆる「ステルス介入」は行なわなかったということです。
8月末から9月末に、米国債の利回り変化を見ると、2年国債が3.50%から4.28%、5年国債が3.35%から4.09%、10年国債が3.20%から3.83%に、それぞれ大幅上昇していることから、おそらく上述の315億ドルの減少の要因は、利回り上昇(債券価格の下落)に伴う評価減だったと思われます。10月末の利回りは、2年国債が4.49%、5年国債が4.23%、10年国債が4.05%だったので、9月末から10月末への440億ドルの減少の一部は利回り上昇に伴う評価減だったと思われますが、8月末から9月末ほどの利回り上昇(価格下落)ではなかったことから、評価減の規模は小さかったと思われます。10月22日の介入時には、ドル円は152円に迫る水準から145円割れの水準に急落しているため、介入の平均レートが148円だったとすると、6兆3,499億円は約429億ドルとなりますので、9月末から10月末への評価減の影響は10億ドル程度だったと推計されます。
日本時間の明日には米国中間選挙の開票が行なわれ、日本時間の10日22時30分(今週から米国は冬時間)には10月の米CPI発表があります。今年3月以降、ずっと「米国金利上昇&米ドル上昇(円だけでなくすべての通貨に対して)」という動きでしたが、10月半ば以降は「米国金利上昇&米ドル下落」となっています。米国株も10月13日のCPI上ブレにもかかわらず大幅上昇して以降、金利上昇にもかかわらずPERが拡大する形での株価上昇が続いています。米国金利上昇はFRBの引き締め姿勢強化の意向を反映した、いわば理屈通りの動きであり、為替と株が理屈に合わない奇妙な動きとなっていると言えます。(本来なら米国金利上昇は米ドル上昇要因であり、PERの押し下げによる株下落要因)奇妙な動きの背景は、まず間違いなく短期ポジションの偏りの修正ですが、この奇妙な動きが始まってからほぼ1ヶ月経過しており、偏りの修正はほぼ終了していると思われます。今後、大きなきっかけにより理屈通りの動きに戻ることが想定されますが、先月のCPIで始まった奇妙な動きは今月のCPIで正常に戻る、という予想は話として出来すぎでしょうか。