日米ともに株価はもみ合いの下限に到達-一旦の戻りを取りに行く局面か
日本が祝日だった昨日、米国株は大幅続落の動きになりました。それを受けて、本日の日本株も一昨日に続き、下落の動きになっています。ロシア側の動きに対抗して、日欧米各国が経済制裁を発表していますが、いずれも想定の範囲を超えない内容であり、目先の悪材料は出尽くしという、前回のコメントでご説明した見方を維持します。
米CPIと米PPIの上ブレにより下落転換し、ウクライナ問題で下落が加速した日米株価ですが、すでに当面のもみ合いの下限と思われる1月安値水準まで下落しています。日経平均では26,000円、NYダウでは33,000ドル、S&P500では4,200、NASDAQでは13,000です。利上げの織り込みもウクライナ情勢も、当面は更なる悪化余地はなくなったと見られることから、ここは一旦の戻りを取りに行く局面だと考えます。
しかしながら、あくまでも「戻り」であり、底打ち反転ではありません。中期的な方向は下であり、次の新たな悪材料はコスト上昇が想定以上に企業業績に悪影響を及ぼしていることが顕在化することで、その時期は4月後半から5月にかけてです。目先の戻りの目処は2月の高値の、日経平均では28,000円手前、NYダウでは36,000ドル手前、S&P500では4,600、NASDAQでは14,500ですが、ぎりぎりまで引っ張らずに少し手前で「もう少し上があるかもしれないな」と思う水準で、戻りを取るポジションは解消すべきだと考えます。
企業業績発表の前に、3月16日FOMCが次の大きなイベントになりますが、FRBの行動目標は政治再度からの圧力により、明らかに市場安定化ではなく高インフレ沈静化になっており、ウクライナ情勢の緊迫化はエネルギー価格の上昇によるインフレ押し上げ要因です。今後、FRBは政治家の期待と市場の織り込みに添った形で、粛々と金融引き締め姿勢を強めていく以外の選択肢はありません。つまり、ウクライナ情勢緊迫化による株価下落を、タカ派姿勢を緩めることで食い止めようとすることは想定できず、3月16日FOMCの内容は「0.50%の利上げ決定。2022年末のドットチャートの中央値は1.50%に変化。」だと思われます。
結論としてメインシナリオは「今日明日にも目先の安値を付け、3月16日FOMCに向けて(株安はFRBが何とかしてくれるという)根拠の希薄な期待感から戻るが、FOMCを受けて再び下落転換」とします。サブシナリオとして「ウクライナ情勢の不透明感からFOMCまで安値圏でもみ合い、FOMCで金融政策の不透明感が払拭されて1-3月期企業業績発表時期まで戻り」とします。いずれにせよ、現状水準からの更なる大きな下落余地は無いと思われます。