ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2022年3月1日のマーケット・コメント

予想される停戦合意の内容

 

昨日のコメントで、プーチンは予想外の展開に焦っており、早く作戦を集結させたい、と考えているはずだ、ということをご説明しました。もちろんウクライナ側もこれ以上の攻撃を受けたくないので、ロシア、ウクライナ両国ともに早期の停戦合意を望んでいる状況です。停戦合意は近日中に行なわれると思います。

 

そこで予想される停戦合意の内容を考えます。まずロシア、ウクライナ両国の望みを整理します。(重要度が高いと思われる順に列挙)

ロシア側:

1.ウクライナにNATO加盟させない。

2.親ロシアの東部2州をクリミアと同様に実効支配する。

3.クリミアのロシア併合を国際的に(欧米チームに)認めてもらう。

4.ゼレンスキー大統領を退陣させ、親ロシア政権に変える。

ウクライナ側:

1.主権を守りロシアの属国にはならない。

2.EUに加盟して、経済的に欧州チームに入る。

3.NATOに加盟して、軍事的に欧州チームに入る。

4.東部2州からロシア軍に出て行ってもらう。

5.クリミアを返してもらう。

 

ウクライナの無条件降伏の可能性は無いので、ロシア側の希望がすべてかなうのは無理でしょう。かといって、プーチンは何も得ずに終わらせるわけには行かないでしょう。そのためには、お互いにとって最も重要な1.を両立させ、どのくらいのお土産をプーチンに差し出すか、ということになります。

 

両国の1.を両立させる解決策は、ウクライナが永世中立国になることでしょう。未来永劫NATO(欧州チーム)にもCIS(ロシアチーム)にも加盟しない、ということです。旧ソ連のトルクメニスタンも1995年に永世中立国になりましたので、非現実的なアイデアではありません。今回の攻撃を受けて、いつかロシアに軍事的に復讐してやる、と考えているウクライナ国民はほとんどいないと思われ、永世中立国化の国民投票は問題ないでしょう。そしてロシアへのお土産は、ロシアとくっつきたがっている東部2州です。なお、ウクライナがEUに加盟申請しましたが、ロシアとしてはウクライナが経済的に欧州チームに入ることに大きな問題は無いと思われます。

 

論理的に考えれば以上の内容が予想されますが、プーチンはPTSD(心的外傷後ストレス障害)が再発し、精神状態がおかしくなっていて何をしでかすかわからない、という分析が各国でされています。怖い話です。プーチンが理性を保ってくれることを願います。