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2022年4月7日のマーケット・コメント

3月FOMC議事録

 

昨日、3月16日FOMCの議事録が公開されました。主な内容としては以下の通りです。まず「ロシアによるウクライナ侵攻がなければ、3月会合で多くの参加者が0.50%の利上げを支持していたが、侵攻を受けて0.25%の利上げにとどめた。今後、物価上昇圧力が和らがない場合には、今後0.50%の利上げが1回以上適切となりえる」とされ、来週に発表されるCPIおよびPPIがインフレ圧力の沈静化を示さなければ、5月4日FOMCで0.50%の利上げを決定することが示唆されました。また「参加者は総じて、米国債で月額600億ドル程度、MBS(住宅ローン担保債券)で月額350億ドル程度を上限とするバランスシート縮小が適切となりそうだという見解で一致した」とされ、5月4日FOMCでバランスシート縮小(QT)開始が決定されることも示唆されました。

 

4月5日には、筋金入りのハト派だったブレイナードFRB副議長が講演で「インフレ圧力を低下させる取り組みが最優先だ」「過去の景気サイクルと比べて回復がかなり力強く、かつ速いペースで進行している事を踏まえれば、バランスシートは過去の回復局面よりもかなり急激なペースで縮小することを想定する」と発言し、FRBはインフレ沈静化を優先し、その副作用として景気動向や市場動向が犠牲になることはやむをえない、という姿勢を打ち出していましたので、整合性が取れます。

 

3月16日FOMCを受けた3月17日付コメントで

「今年のFRBの至上命題が『高インフレ鎮静化のために全力で戦う姿勢を見せ続けること』であることを、FOMCメンバーの多くが正しく理解している印象です。今後のFOMCも、市場予想よりもやや(サプライズにならない程度に)タカ派的な政策変更を継続すると思われます。」

とご説明しましたが、今回の議事録でその見方が正しいことが証明されました。

 

議事録の内容を受けて、米国債券は下落(金利上昇)となり、米国10年国債利回りは2.60%(期待インフレ率2.84%&実質金利-0.24%)となりました。これだけ明確なFRBのタカ派急旋回を受けても、まだ実質金利がマイナス圏であることには違和感があり、米国10年国債利回りの到達点は、期待インフレ率3%&実質金利0%の3.00%と考えます。

日経平均20220407

株式市場ですが、金利上昇によるバリュエーション押し下げによる調整は、今年年明けから続く材料となっており新鮮味がなくなってきた印象です。やはり次の本格的な下落の材料は、コスト上昇の企業業績に与える悪影響の顕在化だと思われます。次回のFOMCが5月4日であることを合わせて考えると、次の本格下落の時期は5月のGW明け以降となると思われます。言い換えれば、4月は上にも下にも大きな値幅が出にくい状況だということであり、日経平均の上値余地は200日線(現在28,217円)程度、下値余地は最大でも26,000円程度で、最も浅ければ25日線(現在26,759円)になる可能性もあるでしょう。つまり、現状の水準からは下落から収益を得るポジションは、買い下がりにより一旦利食いの対応をすべきと考えます。