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2022年7月14日のマーケット・コメント

米CPI上ぶれ-米債券市場と株式市場の織り込みの違い

 

昨日発表された6月の米CPIですが、CPI総合の前年比は事前予想の+8.8%(前月実績は+8.6%)を上回る+9.1%となりました。食品・エネルギーを除くコアCPIの前年比も、事前予想の+5.7%(前月実績は+6.0%)を上回る+5.9%となりました。

 

この発表を受けて米国株は急落しましたが、その後下げ幅を縮小する動きとなり、小幅下落で引けました。米国債券も急落しましたが、その後急速に戻す動きとなり、米国10年国債利回りは、前日引けの2.97%(期待インフレ率2.32%&実質金利0.65%)から引けは2.94%(期待インフレ率2.35%&実質金利0.59%)となり、小幅低下(債券価格は小幅上昇)となりました。一方、米国2年国債利回りは、前日引けの3.05%から3.16%に上昇し、いわゆる逆イールド(短期金利が長期金利を上回る状態)が強まりました。逆イールドの発生は景気減速局面入りの前兆です。

 

今回のCPI発表を受けて市場の織り込みは「7月27日FOMCでは0.75%の利上げは確実で、利上げ幅が1.00%になる可能性もある」となりました。米国債券市場の反応は、おそらく「FRBは目先の経済成長を犠牲にしてもインフレ鎮静化を優先させる」という方針が後押しされ、目先は引き締め加速だが中期的には「インフレ沈静化&景気減速」に向かう可能性が高まったとの織り込みだと思われます。一方で米国株式の織り込みは気迷い状態にあると思われ、これまでの織り込みである「FRBは引き締め加速でインフレ沈静化を図るものの、米国景気が腰折れすることはなくソフトランディングに終わる」ということを信じ続けていいのか、あるいは引き締め加速と景気好調が両立することはなく、景気減速を織り込み始めなければならないのか、どっちつかずの状態に見えます。

 

米国株式市場の織り込みの方向性を左右する重要な材料になるのが、15日の小売売り上げだと思います。事前予想は前月比+0.9%(前月は-0.3%)となっていますが、もし下ぶれて、しかも2ヶ月連続のマイナスということになれば、高インフレの悪影響が「消費者の買い控え」という形で顕在化が始まり、企業業績は下方修正懸念が高まるということを織り込まざるを得なくなるでしょう。もし小売売り上げが悪材料にならない内容でも、来週以降は4-6月期の企業業績発表が控えています。

 

私は長くこの業界に身を置いていますが、景気後退(業績悪化)局面でいつも感じるのは、債券市場は特段のバイアスなく状況変化を合理的に解釈してほぼリアルタイムに反応するが、株式市場は業績悪化リスクという都合が悪いことに限界まで目を背け、限界点を超えると一気に織り込む(一気に株価下落する)という傾向が明らかに存在します。それがなぜなのかという話は別の機会にすることにしますが、今回もまったく同じ感覚がします。