ドル円シカゴ筋ポジション-145円超えにはやや時間が必要か
先週末に発表された9月13日時点のドル円シカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが9月6日時点の114,191枚から120,015枚へ増加、円ロングは56,002枚から39,323枚へ大幅減少となり、差し引きのネット円ショートは58,189枚から80,692枚へ大幅増加となりました。円ショートの12万枚という水準は、過去の最高水準に匹敵し、ポジションの増加余地は限定的と言えます。
ドル円の動きを振り返ると、9月7日に米国金利上昇を受けて前日の141円から一気に145円トライまで上昇、その後142円まで調整するも9月13日には米CPI上ぶれを受けて再び145円トライまで上昇したところで、14日には介入準備とされる日銀のレートチェックが入り143円まで調整して、その後はもみ合いとなっています。
2015年の円安ドル高進行局面では、125円越えで黒田総裁が円安進行牽制発言を行い、125円が「黒田ライン」と強く意識され始め、結局125円を超えられないまま2016年には米国金利低下を受けて100円まで大幅調整しました。今回は米国金利の低下は起こりそうにないため、前回のような大幅調整が起こる可能性は低いと思われるものの、145円が当面は「新たな黒田ライン」と意識されるようになったと思われます。
ドル円は7月14日に前回高値139.39円を付け、8月2日には130.41円まで調整してから、今回の上昇波動が始まり145円トライに至っています。シカゴ筋のネット円ショートは8月2日時点には42,753枚、8月9日時点には25,032枚まで減少していました。今回も目先はポジション調整を経なければ「新たな黒田ライン」の突破は難しい状況だと思われます。調整での安値目処としては、前回の調整幅が9円、132円半ばからの下落が瞬間的だったことを考慮すると7円でした。145円から7円調整だと138円、9円調整だと136円になります。
明日(日本時間では明後日早朝)のFOMCでは、0.75%の利上げ決定はほぼ確実で、注目点は利上げ終了後の引き締め継続期間に関する言及(早期の利下げ転換の否定)です。市場想定以上に踏み込んだ内容が打ち出されれば、米国金利の更なる上昇、ドル円の再度の145円トライの可能性はあると思いますが、短期的にはそれで一旦材料出尽くしとなるのではないでしょうか?
米国金利、ドル円が一旦材料出尽くしで調整局面となっても、米国株は景気減速下での引き締め長期化という株にとっての最悪の組み合わせを織り込み始め、6月安値更新に向かう可能性が高いと思われます。先週のフェデックスの業績下ぶれは、単なる個別銘柄の問題にとどまりません。ご承知のように、フェデックスは全世界で輸送ビジネスを行なっており、CEOは「全世界で取扱量が減少した」と発言しています。これは世界的な景気減速を示唆するものに他なりません。7-9月期業績発表では、多数の企業でコスト上昇に加えて世界景気減速の企業業績への悪影響が顕在化すると想定されます。