9月FOMC終了-予想通りのタカ派表明
昨日のFOMCでは、予想通り0.75%の利上げが決定され、FFレートの誘導目標は3.00-3.25%に引き上げられました。パウエルFRB議長は会見で「われわれはインフレを過去のものにする必要がある。痛みを伴わずにそうできる方法があれば良いが、それはない」「金利上昇と経済成長減速、労働市場の軟化はすべて国民に痛みをもたらすが、将来的に再びやり直さざるを得なくなるほどの痛みではない」と述べました。つまり、高インフレが沈静化するまでは、資本市場や労働市場、米国経済がどうなろうが、FRBは金融引き締め姿勢を崩さない、と表明しました。
FRBは昨年「高インフレは一時的」と判断して引き締め転換が遅れた、と判断ミスを犯したと広く認識されています。同じ方向(引き締めに過度に消極的)に再び判断ミスを犯したら、FRBの信認は地に落ち、政治家の攻撃を浴びてメンバーは全員クビです。なので、今度判断ミスが許されるのは逆の方向(引き締めに過度に積極的)という方向しかなく、今回のパウエル議長発言は、FRBがその点を十分理解していることが感じられます。言うまでもないですが、逆の方向への判断ミスとは、リスク資産(株、不動産、クレジット)、労働市場、米国経済の想定以上のクラッシュを意味します。
今回示されたドット・チャートでは、2022年末のFFレート予想中央値は4.4%、2023年末では4.6%とされました。4.4%が誘導目標4.25-4.50%を意味するとすれば、年内にあと1.25%の利上げを見込んでいるということになります。年内のFOMCはあと2回(11月2日と12月14日)しかなく、11月0.75%、12月0.50%の利上げをFRBメンバーはメイン・シナリオと考えている、ということです。また、2023年末予想が4.6%ということは、2023年中に利下げ開始の可能性はないことをメイン・シナリオとしている、ということです。昨日時点のFFレート先物のカーブを見る限り、この点はまだ市場に織り込まれ切ってはいません。
今回のFOMCの内容は、0.75%の利上げ決定は一部に1.00%利上げ予想があったことを考えると、やや市場にポジティブと言えますが、将来予想に関しては至上予想を大幅に上回るタカ派姿勢です。FOMC声明発表を受けて米国株は一時上昇しましたが、パウエル議長発言を受けて大幅下落となり、米国債券は乱高下した後、前日比では短中期金利は上昇、長期金利はほぼ横這いとなりました。ドル円は再び144円台まで上昇しました。
「株価=予想EPS×適正PER」であるところ、今回のFOMCで適正PERの修正(低下)プロセスは終盤に差し掛かった、と言えるでしょう。今後の株価下落材料は、主に予想EPSの下方修正に移行していくことが想定されます。米国企業の7-9月期業績発表が本格化するのは10月17日の週からですが、米国では業績修整がある場合、業績発表の2週間前までに発表することが慣行(以前はルールでした)となっています。すでに、フェデックスやフォードが業績下方修正を発表していますが、10月3日の週以降に多くの企業が業績下方修正を発表してくることが想定されます。今後株価下落が続くようなら、その頃に米国株は一旦底打ち反転する可能性が高いと考えます。