ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2023年2月27日のマーケット・コメント

米国ではFRBタカ派継続への警戒が高まってきたが・・・

 

先週金曜日に発表された1月の米個人消費物価デフレーターですが、事前予想の前年比+5.0%を大幅に上回る+5.4%で、前月実績も+5.0%から+5.3%に上方修正されました。この指標はFRBがインフレ状況の判断で重要視しているとされており、FRBの「まだ利上げは継続し、利上げ終了後は金利を高止まりさせる」という姿勢の実現を後押しする内容だったと言えます。

 

発表を受けて、米国株、米国債券ともに下落となりました。米国株は2月の直近高値からの下落率は、NYダウで4.2%、S&P500で5.0%、NASDAQで6.6%となりました。米国10年国債利回りは、2月初めの3.40%から3.95%まで上昇しています。金利上昇を受けてPERが縮小する形で株下落は、まさに教科書通りの動きですが、先週引け時点でのS&P500の予想PERは約18倍と依然として割高感がある水準です。

 

金利水準から逆算される妥当PERは15倍程度なので、まだ20%近い下落余地があることになります。加えて、現在の予想EPSは楽観的過ぎると言う意見が米国の複数のストラテジストから出てきており、EPSの下方修正余地を10%とすると、PERと合わせて30%近くの下落余地があることになります。先週末の水準から30%下落は、NYダウで23,000、S&P500で2,780、NASDAQで8,000となり、いずれも昨年安値(NYダウが28,661、S&P500が3,492、NASDAQが10,089)を大きく下回る水準です。ただコロナ直後の2020年3月安値はNYダウが18,214、S&P500が2,192、NASDAQが6,631だったので、その水準までは届かず、2018年10-12月あたりの水準までの下落にとどまる、という言い方も出来ます。

 

一方で不思議な動きをしているのが日本株です。先週金曜日も今日も、前日の米国株が比較的大きい下落だったにもかかわらず、底堅い動きとなっています。日経平均はまるで27,500円に強い引力があるかのような動きです。米国金利上昇を受けて、ドル円は130円割れから136円台まで上昇していますが、ドル円が昨年3月の115円から昨年10月の150円越えまで上昇する過程でも、そこから今年1月の130円割れまで下落する過程でも、日本株との相関はほぼ消失していました。

 

今月になって突然相関が復活したと考えるよりも、積極的に売買をする主体がまったく現れていない、と考えるのが妥当でしょう。焦らずに、下落から収益を得るポジションをキープすることをお薦めします。